1. はじめに
こんにちは!血液内科で働く看護師をしているエリです😊
治療中のつらさや日々の疲れから、「少しでもリラックスしたいな」「痛みが和らげばいいな」と感じることはありませんか? そのような時、「マッサージ」に関心を持つ方もいらっしゃるかもしれませんね。
今回は その「マッサージ療法」について、どのようなもので どんな効果が期待され、そして どのような注意点があるのか、アメリカの国立補完統合衛生センター(NCCIH)という機関が出している情報を基に、皆さんにご紹介したいと思います。こちらを 厚生労働省 も 日本語に直して、丁寧に紹介されていますね!
出典:米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)ファクトシート「Massage Therapy: What You Need To Know」(最終更新日:2019年5月)
出典:厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』-マッサージ療法-
今日は 治療に取り組むためには、心身ともに リラックスする機会を作ることが大切です。
よく患者さんに「マッサージしてほしい」「さすってほしい」と御要望をいただく事が多いのですが、その効果やエビデンスを、看護師目線で詳しくお伝えしますね✨
2. マッサージ療法とは? どんな種類があるの?
マッサージ療法って何?
改めて、ここでのマッサージを確認します。人間の長い歴史の中で、健康のためや痛みを和らげるために行われてきた 手などを使って体の主に柔らかい部分(筋肉など)に働きかける手技のことです。
「手当て」という言葉にも通じる、古くからある癒やしの一つですね。
そして、 一口にマッサージと言っても、様々なスタイルがあります。
- 東洋式マッサージ: 指圧や推拿(すいな)など、東洋医学に基づいたもの。 それぞれ目的や手技が異なります。
- スウェーデン式マッサージ: 西洋で最も一般的で、なでたり、揉んだり、叩いたりといった手技を組み合わせます。
- スポーツマッサージ: スポーツをする方向け。
- 医療マッサージ: 特定の症状(筋肉のけいれんなど)に対応するもの。
3. この研究(論文/ガイドライン)は何を伝えたいの? ~マッサージ療法の科学的根拠と注意点~
このNCCIHの情報(ファクトシート)は、特定の新しい研究結果というよりは、これまでに行われたマッサージ療法に関する 科学的な研究(臨床試験など)の結果をレビュー(総括) し、どのような症状や病気に対して、マッサージ療法が有効であるという証拠(エビデンス)があるのか、あるいは不十分なのかを、現時点で分かっている範囲でまとめたものです。
また、マッサージ療法を受ける上での安全性や注意点、施術者の資格などについても情報を提供しています。目的は、一般の方々がマッサージ療法について 科学的根拠に基づいた情報を得て、賢く利用できる ようになることです。(※もとのHPは米国の物になるため、資格等の一部で事情が異なる可能性がある事は注意が必要です)
特に 補完・代替療法については様々な情報があるので、
信頼できる情報源の一つとして参考にすることが大切ですね。
4. 研究結果/ガイドラインのポイント解説:マッサージの効果は?
NCCIHの情報によると、マッサージ療法の効果は、対象となる症状や病気によって、科学的な証拠(エビデンス)の強さが異なります。
ポイント①【痛みへの効果】
- 腰痛、首・肩の痛み: マッサージが短期的な痛みの軽減に役立つ可能性がある、といういくつかの証拠があるようです。ただし、長期的な効果についてはまだよく分かっていません。
- 膝の変形性関節症: 痛みや機能の改善に役立つ可能性が示唆されていますが、まだ研究が必要です。
- 頭痛: 緊張型頭痛の頻度を減らすのに役立つ可能性がありますが、片頭痛への効果ははっきりしません。
ポイント②【がん患者さんへの効果】
マッサージは、がん患者さんの 痛みや不安を和らげるための「支持療法(つらさを和らげるケア)」の一つとして使われることがあります。ただし、その効果を示す 科学的な証拠は、まだ弱い(質が低い、結果にばらつきがある) ようです。
がん患者さんにマッサージを行う場合は、特別な注意が必要です(後述します)。
ポイント③【線維筋痛症への効果】
5週間以上継続した場合、痛み、不安、抑うつを改善する可能性があるようです。ただし、睡眠障害への効果は認められていません。
ポイント④【HIV/AIDS患者さんへの効果】
不安や抑うつを和らげ、QOL(生活の質)を改善する可能性が示唆されていますが、研究の規模が小さく、証拠としてはまだ弱いようです。
ポイント⑤【赤ちゃんへの効果】
未熟児の体重増加 を助ける可能性がある という証拠がありますが、健康な赤ちゃんへの効果は、はっきりしていません。
全体として、特定の痛みや症状に対しては効果が期待できる可能性もありますが、多くの病気に対する効果は、まだ科学的に十分に証明されているとは言えない状況のようです。
6. 副作用/注意点について ~特に血液疾患の患者さんへ~
マッサージ療法は、一般的には安全と考えられていますが、注意すべき点もあります。
まれに 重篤な副作用(血栓[血の塊]ができる、神経を傷つける、骨折するなど)も報告されています。特に 強い力で行うマッサージ(深部組織マッサージなど) や、高齢者、骨がもろい方などは注意が必要です。
血液疾患の患者さんへの特別な注意点!!
血液内科の患者さんは、病気や治療の影響で、特に以下の点に注意が必要です。
マッサージを受ける 前には、必ず担当の先生(主治医)に相談 してくださいね!
- 出血のリスク: 血小板が少ない、血液を固める力が弱い場合、軽いマッサージでもあざ(皮下出血)ができたり、出血が止まりにくくなったりする可能性があります。
- 血栓のリスク: 深部静脈血栓症(DVT)の既往がある方や、そのリスクが高い方は、マッサージによって血栓が剥がれて飛んでしまう危険性もゼロではありません。
- 感染のリスク: 白血球が少ない、免疫力が低下している方は、皮膚の小さな傷からも感染を起こす可能性があります。皮膚の状態にも注意が必要です。
- 骨への影響: 骨髄腫などで骨が弱くなっている場合、強い圧迫は骨折のリスクになります。骨の痛みがある部位へのマッサージも避けましょう。
- その他: 点滴ポートやPICCカテーテルが入っている場所、リンパ浮腫がある部位、皮膚が弱くなっている場所などへのマッサージは避ける必要があります。
もし先生から許可が出た場合 も がん患者さんや血液疾患患者さんへの施術経験が豊富な、資格のあるマッサージ療法士を選び、ご自身の病状や注意点をしっかり伝えた上で、非常に優しい力加減で行ってもらうことが大切です。
6. まとめ(看護師エリからのメッセージ)
マッサージ療法は、リラックス効果や一部の痛みの緩和などが期待できる、補完的なアプローチの一つですね。心や体の緊張をほぐすのに役立つと感じる方もいらっしゃると思います。しかし、その効果は症状や病気によって様々であり、科学的な証拠がまだ十分でない領域も多いようです。マッサージ療法は 標準的な医療の代わりになるものではありません。
特に、血液疾患の治療を受けていらっしゃる皆さんは、出血や血栓、感染などのリスクについて、一般の方とは異なる注意が必要です。マッサージを受けてみたいと思われたら、まずは必ず担当の先生に「受けても大丈夫かどうか」を相談してくださいね。
もし許可が出た場合でも、ご自身の状態をよく理解し、経験豊富な施術者を選び、無理のない範囲で、心地よいと感じるケアを受けることが大切です。
皆さんが、ご自身の体と心に合った方法で、少しでも安らぎや快適さを得られることを願っています。治療でつらい時、不安な時は、いつでも私たち医療スタッフに声をかけてくださいね😊
7. 注意事項
この記事は、米国のNCCIHが提供する情報を分かりやすくお伝えするために作成しました。
日本におけるマッサージ療法の資格制度や規制とは異なる場合があります。また、この記事は 医学的なアドバイスをするものではありませんし、特定の治療法や施術者を推奨するものでもありません。治療やケアに関する最終的な決定は、必ず担当の医師とよくご相談の上でなさってくださいね。
少しでも 皆さんの 生活が 快適になるよう、応援しています!
以上、看護師エリでした!👋









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